ヘルメットペイント 自作塗装に挑戦
(レーシングカート用)
やれんのか!?
2008/02/03
Special Thanks:ヘルメット先生






1.無謀

レーシングカートをやっている人は皆オリジナルのヘルメットペイントを施している。これがとてもかっこいいのだ。

例)カート大手:エイコーの写真館や、サントレードのギャラリーに沢山載っている↓
http://www.eikoms.com/
http://www.suntrad.co.jp/

つまるところこの世界にはヘルメットをデザイン・塗装する専門の「プロ」の方が存在する。プロに頼めばとても綺麗な塗装をしてくれる。

例)プロのビッグハンドペイントさんのページ。ギャラリーに逸品の写真が沢山載っている↓
http://www.big-hand.net/

ここらで色気付いて私もプロに依頼を、と思ったが、・・ちょっと待てよ、
・・試しに自分で塗ってみるか?
という変なチャレンジ精神が沸いてきた。

もちろんプロの仕上がりにはとうていかなわないだろうし、工数を考えると割に合わないのだが、小さい頃は損得抜きに何でも自分の手で作って、完成した時のその喜びといったら・・そんな思いが込み上げてきた。
ものづくり精神、クラフトマン魂とでも言おうか。幸いにも手先は割と器用な方?である。
ということで、あまり先のことは考えずにとりあえず実行に移すことにした。


2.イメージデザイン その1

とは言ったものの、ヘルメットの塗装など初めての体験、右も左も分からない。
幸いにも身近な友人に「ヘルメット先生」がいる。
「友人の趣味の紹介」参照)
何かあったら教わりながらやればよい、そんな安堵感があった。

今回のデザインの条件は「カートのカラーリングに合わせること」。
私の所有するINTREPID 2005年モデルの赤〜黒〜黄のカラーリングを踏襲する。
Microsoft Wordを使ってラフスケッチを開始したが・・これがいざやってみると
簡単なようで意外と難しい。
ちょっとでも色の配分が違うと、INTREPIDとイメージが異なってしまう。
そんな中ひとまず何でもいいから形を作ってみたのが下記デザイン。

デザイン その1

・・ヘルメットのベースは2輪用のSHOEIのワイバーン2を用いている。
当初はあわよくばバイクに乗る時にも使うべく2輪用のメットで塗装を考えていたが、友人のカート先生から「折角だから4輪用にしたら?」のアドバイスで、それもそうだな、ということでカート専用のアライSK-5を奮発して購入することにした。
まだ先行きや見通しは立っていないが、とりあえず
後戻りできないよう買ってしまうことにした。
(自分を追い込む)


3.2007/12/09 アライSK-5購入

ヘルメット先生に同行してもらい、ヘルメットのメッカ、上野に購入しに行った。
購入した店は上野のラビーという店。
アライSK-5、34,000円。意外と安く購入できた。
キャラコートシールドは売ってなかったので、隣のUPCで購入。12,800円。

購入したヘルメットSK-5
、キャラコートシールド、バイザーステッカー

いつものXLサイズ。(頭が異常にでかい笑)
購入を決意する前にヘルメット先生が製造年月日を見てくれた。
・・2007/12/04製造、ウホッできたてホヤホヤだ。5日前製造。
もし公式レースに出るとなると、ヘルメットの製造日期限(3年)があったりするので、必ず確認した方がいいとのことだ。最悪売れ残りの期限切れ間近のがあったりするので。なるほど、今までヘルメット買う時に製造日なんて見たことなかった。ひとつ勉強になった。


4.イメージデザイン その2

SK-5の写真をベースにして次のデザインを考えてみた。

デザイン その2

この頃から塗装には「エアブラシ」を使用することが前提となっている。
今回折角なのでエアブラシも体験してみたい・・ということでインターネットのエアブラシ先輩方のページを見て色々勉強した。しかし
・・この頃はまだ甘く見ていた..
(こんなグラデーションなど簡単にはできない..)


5.イメージデザイン その3(確定稿)

少し個性的なデザインに走ることにした。カートの世界のセオリーを無視するというか、あえてシロウトっぽいデザインにするというか..
その方がプロの作品と同じ土俵で比較されることなく、「自分で塗ったんだな」というシロウト基準で周りの人は見てくれるかもしれない。
・・ある種
「逃げ」である。

個性的なデザインとして、ヘルメットの回りに名字のアルファベットをデザインとして大きく表現できるだろうか?
そんなこと物理的にできるのか?
案ずるより産むが安し(?)、できるかどうか、先にラインテープを貼ってみて検証することにした。

検証

・・ふむ、なんとかいけそうだ。両側でアルファベット4文字表現できそう。

想像していたデザインがいけそうなので、最終デザインとしてまとめた。

デザイン その3(確定デザイン)

Microsoft Wordの描画機能を用いて作成。

・・ちなみにこれをもとに、先に完成したものを見せると、下図。

黒色のグラデーションは、後述するがやっている余裕がなかったため中止..


6.エアブラシ購入

デザインは確定したので、エアブラシを購入することに。
詳細検討した結果、グンゼのGSIクレオス・リニアコンプL5トリガータイプエアブラシLWAセット(クレオスセット306)を購入することに決定。

下記Webショップで購入した。
里見デザイン
http://www.d-satomi.com/
メールでの応対は非常〜に良かった。

エアブラシセットが約38,000円、付帯品、消耗品等もろもろで全部で5万円強の出費..そのことを買う前にヘルメット先生に話したら
「・・その金でプロに塗ってもらった方がいいんじゃないの?笑」
ガーーンッ!まさしくその通り..その方がよっぽど綺麗なものが入手できるとも言う..
まあ今回は綺麗なものを入手するのが主目的ではなく、ある意味自己への、モチベーションへの投資、・・自分で塗ったものの方が汚くても愛着が沸くと思う..きっとそうだ..(と言い聞かす)

購入したエアブラシセット

L5というエアコンプレッサーの特徴は、ピストン式ではなくダイヤフラム式で、パワー(エア圧)はそれ程ないが、
●コンプレッサー音がとても静か → 夜中でも吹ける
●24時間連続運転可 → ずっと吹きっ放しでもOK
 (モノによっては15分位動かすと冷却のため止まってしまうのもあるらしい)
という点。その点に魅力を感じ、選定した。
どちらかと言うとL5はデザイン用途よりも、模型用途に使っているユーザが多いようだ。

ハンドピースのニードル径は0.5mmと比較的太めで、ヘルメット等の塗装面積が広いものへの塗装に向いていそう。

今回使用する塗料は、検討した結果、水性塗料を使うことにした。
水性より油性の方が仕上がりは綺麗かもしれないが、油性は
●色の交換や道具を洗うのにシンナーが必要(水性なら水でジャブジャブ洗える)
●家の中でやっていると、充満してラリっちゃいそう笑
●シンナーはハンドピースのゴムパッキン類を早く痛めるらしい
等の点に心配を感じ、今回は水性を採用した。


7.寸法計測、ラインテープ貼り

ヘルメットでデザインの寸法を計り、ラインテープを貼っていく。
これが実際やってみると、デザインの寸法がずれてはいけない、ラインが曲がってはいけない、左右対称にしなければならない等、
意外と大変である。
それなりに時間がかかるが、根気よく進める。

ちなみに私のやり方を紹介すると、下記方法でやってみた。

主に使った道具類

簡易メジャー、デザインカッター、製図用コンパス
コンパスはセンター出しなどに利用。頑丈でブレのない製図用で2,000円した。

水平線出しの方法(簡易。どなたかのホームページで紹介していた)

定規に蛍光ペンをセロテープで留め、机上で横にスススーと平行移動すると、水平線が描ける。描いた後それに沿ってラインテープを貼る。

曲面へのラインテープの直線貼り

輪ゴムとか紐の両端をセロテープで留めると、最短距離を直線で結んでくれるので、それに沿ってラインテープを貼ると楽だった。


ラインテープ貼り(ほぼ完成図)

幅3mmのラインテープを8m買って来て、これだけあれば余裕だろう、と思ったら、
た、足りなくなった。
途中で急きょ追加で別の店で購入。ラインテープの色が途中で違うのはそのせい。都合全部で12m位使ったのではなかろうか..そりゃ貼るのも大変。

おまけ

最初のラインテープが反射タイプだったので、フラッシュで撮ると、光る笑。

・・ここでお気付きの方もいると思うが、このラインテープは正式な塗装用のマスキングテープではない。
その辺のカーショップで売っている飾り用のラインテープである。
正式な3mmマスキングテープがどこに売っているかよく分からなかったため、手っ取り早くカーショップで売っているもので済ませた。
(後でヘルメット先生に聞いたら、先生はちゃんと持っていた笑)

ちなみに貼ったラインテープは、塗装後に剥がした。あくまで色の境目のマスキングテープ代わり。(剥がすのも12m分大変だった..)

正直に白状すると、このデザインは実は手抜きで、何が手抜きかと言うと
デザインに曲線を一切使っていない。
全て直線で貼っている。幅3mmのテープと言えど、テープが伸びて曲がる訳ではないので、曲線のデザインは難しい。そのため直線だと楽に済ますことができる。


8.縁ゴムや内装のマスキング、塗装表面の脱脂

ヘルメットの縁ゴムや内装をマスキングする。プロはきちんと一旦取り外してから塗装するのだが、今回の私のシロウト仕事は
いかに手間を省くか?(=細かいことは気にしない)
というポリシーでやっているので、そのままいくことにした。その方が初心者でも気兼ねなくできるやり方を確立できるかもしれないし、何より面倒だと自分が途中で挫折しそう..ということで、今回
何1つ外さず、何1つ剥がさず、全て付けっ放しのまま行ってみた。
・・い、いいのか!?(さすがにシールドだけは取り外した)
ほんとに、これで金をもらう訳ではない、シロウトだからできる技ですな..

縁ゴム、内装マスキング後

この後塗装表面の脱脂は、台所のママレモンを使って古い歯ブラシで洗った。
(ヘルメット先生はちゃんと塗装専用の脱脂剤を持っていた笑)

内装のマスキングは、シールド開口部分に手をかけて持ち上げ易いよう、メクラで塞がずにコンビニの袋を中に張ってマスキングした。その方が塗装中に持ち上げて向きや角度を臨機応変に変え易いと思ったから。(塗装中はヘルメットの表面は触れないので、ね)


9.塗装準備

エアブラシを使って塗装に入る。
ここで更に掟破りの手間削減工法に挑戦。
一切ペーパーがけも、下地処理もせずに、いきなり塗る。
果たしてそんなことをしていいのか!?
・・一応今回用意した特殊な水性塗料が「ヘルメットや金属等に下地処理せずにそのまま塗れる」という点をうたい文句にしている。なので・・いけるのでは?。(確信はない)

今回使った塗料

Dr.マーティンの「メタルクラフト」という水性塗料。水性なのに光沢表面に直接はじかずに塗れるという、魔法のような塗料らしい。
今回使ったのは、黒、黄、赤の3色。(橙色部分は、黄色を塗った上に赤を薄く吹くと、橙色になった)


10.塗装前に、しばしエアブラシ勉強

初めてエアブラシというものを吹くので、エアブラシ講習DVDを一緒に購入した。観てエアブラシのイロハを勉強。

エアブラシ講習DVD

エアブラシのトップメーカ、エアテックス社製の講習DVD。プロのデザイナーがエアブラシの技をおしげもなく披露、教えてくれる。本当にありがたいものである。・・すみません技だけ教えてもらい、エアブラシはGSI社製買っちゃいました..申し訳ない。(次購入する時はエアテックス社製買います)
DVDでは先生がエアブラシによる人物模写や宇宙惑星図等をいとも簡単にサッサッと仕上げていく。観ていて惚れ惚れする。まあシロウトはこれの10分の1位でもできれば上等だろう..と思った。


11.緊急事態

それではいざ自分で吹いてみることに。
ハンドピースに塗料(メタルクラフト)を注入。
メタルクラフトは、講習DVDでは原液のまま入れて吹いていた。
ボトルに書いてある説明では、エアブラシには水で10%程度薄めると吹きやすくなる、と書いてある。ひとまず原液のまま入れてみた。
講習DVDでは最初に黒などの濃い色を使って存分に練習しなさいとあったので、黒を入れ、ドキドキしながらいらないカレンダーの裏紙に吹いてみた。・・が、
・・で、出ない。
ウンともスンとも出ない。一滴も出ない。ど〜うあがいても出ない。虚しくエアだけがシューシューと出ている。
こりゃいかんと思い、説明通り水を10%足して薄めてみる。・・変わらず出ない。出る気配がない。・・ど、どうしよう、これじゃ10分の1もできないぞ!
いったいどうなっているんだ?


最初はエアブラシが壊れているのか?とも思ったが、・・壊れている様子もない。エアが漏れている訳でもない。どうしよう・・これでは吹けないのか? 一度も吹けぬまま計画失敗で終わるのか!?さ、最初からエアテックス社製のコンプレッサーを買っておけばよかったか!?

どうやらメタルクラフトは光沢表面に直接塗装できる反面、粘度が非常に高いらしい。それを吹くためには高いエア圧が必要らしい。弱い風圧でダラダラ吹いていると、塗料を吹き出せぬままニードル先端でエアで固まってしまうらしい。
たしかに講習DVDではメタルクラフトは圧を上げて吹いていた。たまに固まらぬよう、いらない紙に向って勢いよく吹いて先端の固まりを取り除いていた。

Webで調べたところ、メタルクラフトを吹く時の推奨エア圧は0.25MPa(約2.5kg)ということが分かった。

・・で、購入したL5であるが・・エアゲージを見ると、最大圧力でも0.14MPa(1.4kg)しか上がらない..しかもそれはスタンバイ時(エアを吹いていない時)の圧力であって、吹き出すとすぐ0.05MPa(0.5kg)にブシューと落ちてしまう..ぜ、全然エア圧が足りない。

スタンバイ時の圧力

電源を入れるとコンプレッサーは常時運転となり、スタンバイ時の圧力は0.14MPa(1.4kg)。この時点でメタルクラフトの0.25MPa(2.5kg)に届いていない。
(そもそもエアゲージの目盛が0.2MPa(2.0kg)までしかない笑)

吹いた時の圧力

さらにエアを吹くと圧力はすぐに0.05MPa(0.5kg)に落ち、吹いている間はずっとこの圧力である。0.5mmという比較的太いニードル径のハンドピースと、静かでかわいいコンプレッサーの組合せでは、これが限界なのだろう。

ど〜うにか計画を変更せずにこのエアブラシセット、この塗料のまま吹けないだろうか?
試しに塗料をもっと水で薄めてみた。・・だめ。もっともっと薄めてみた。・・お、ちびっと出始めた!が、すぐに先端が詰まってしまう。ここまで来たら青天井で薄めてみる。(いったいどこまで薄めるんだ?笑)もう塗料の2倍以上水を入れている気がする笑..するとおお、とりあえず何とか継続して吹けるようになった!・・色はもちろん薄いが笑
これで実際塗れるかどうか、試してみるしかない。

イメージ)試し吹きの姿

冷蔵庫にいらないカレンダーの裏紙を貼って吹け具合や塗料の濃さを確認した。(・・薄くて垂れてますね笑)

おそるおそるヘルメットに黒色を塗ってみる。(綺麗な新品に塗り出すのは勇気がいる笑)この時点でもう、練習一切なし.. 練習どこじゃなくなってしまった。余裕が一切ない。これでちゃんと塗れるのか?
ふむ・・とりあえず何とかギリギリ垂れずにいけそうだ。色は薄いが、少しずつ根気よく何度も重ね塗りをすれば・・色も付きそうだ。ただしもう色の強弱を付けるグラデーションどころじゃない、塗るだけで精一杯だった..悪戦苦闘しながら何とか塗装を進める。


12.塗装進行

幸いにもメタルクラフトは速乾性らしく、吹いたそばからどんどん乾いていく。重ね塗りするには好都合だ。10回位の重ね塗りもどんどんできる。
ハーフトーンを出さずにベタっと塗る時は、ノズルを3〜5cm位に近付けて塗れるので、塗料の飛び散りが少ない。塗料を有効に使える。最終的に黒、赤、黄とも60mlボトルの半分以上残ったので、実質それぞれ10〜20ml位しか使わなかったのではなかろうか。
近付けて塗るとピンポイントで塗れるのでマスキングもあまりしなくて大丈夫? 3mmのラインテープのみで黒は塗装を進めた。若干はみ出しはしたが、その部分は後で赤や黄の別の色を上から吹けば消えるだろうと、安易に考えていた。・・が、結果上塗りしても消えなかった爆 しまった、こんなことなら最初からきちんとマスキングするのだった..

例)はみ出した部分

黒色がはみ出しているのが分かるだろうか。上塗りしても消えなかった部分。まあ今回細かいことは気にしない。(気にしていたらきりがない笑)

簡易マスキング(ポストイット笑)

最後の赤色を塗る時は高粘着ポストイットで簡易マスキングするようにした。近付けてベタ塗りする時はこれで十分だったが、グラデーションを遠くから吹く時は、これでは不十分だった。(ヘルメット全体にはみ出した笑)

ちなみに意外と難しいのは、塗装表面がデコボコした部分。シールド収納部の段差のあたりなど。エアの乱気流が起きて、均一に塗れないのだ笑。吹き溜まりができてしまう。色々吹く角度やハンドピースの距離を変えながら色付けを行った。


13.グラデーションに挑戦

なんだかんだ言ってだんだん手馴れてくるもので、グラデーションも何とかできるようになった。てっぺんのグラデーション(赤)は最後に吹いたが、この頃にはそれなりにまともに吹けるようになった。
グラデーションは近くで吹くとまだらになってしまうことが分かり、てっぺんの赤はかなり遠くから塗料をおしまずにブシューッと吹くようにした。

グラデーション

ハーフトーンの割には一番塗料を使うグラデーション。・・でもグラデーション位やらないとエアブラシを買った意味がないんだよな..

これにて色塗装は完成。上記写真は塗装後ラインテープを剥がしたもの。


14.リビングのエアコンが・・!

塗装は台所で行った。水性塗料なので匂いもほとんどしない。学校の絵の具みたいな優しい匂いがする。・・寒いので換気もせずに行っていた。(おいおい)
が!その後ふとリビングのエアコンを見て愕然となった。
エアコンのフィルターが真っ赤になっとる!

写真じゃ分かりづらいが、実物はかなり色が付いた..

やっぱり飛散していたんだ..次回塗る時は最低限換気扇は回そう..


15.ラインテープ剥がし

乾燥後、マスキングテープ代わりに使ったラインテープを剥がした。ピピッと剥がしてすぐ終わるだろうとたかをくくっていたが、・・いやいや剥がすのも大変だった。
まず正規のマスキングテープではないため、ベッタリ貼り付いている。テープの端をカリカリやって剥がすきっかけを作ろうにも、塗装面を傷付けてしまう。メタルクラフトは塗装表面を爪で引っかくと、その部分だけいとも簡単に傷が入り下地が見えてしまう。
・・何度かやってしまった。(細かいことは気にしない..)
凝結性が低い? 誤って傷付けないよう、慎重に行った。
また安易にそのまま剥がすとテープに塗装境界の塗料が一緒にくっついてきてバリバリ剥がれてしまう。ウワワ! これはテープを剥がす前にデザインカッターで境界の筋目を入れてから、慎重に剥がした。これも12mあると大変..


16.クリア塗装

最後にクリアを吹いた。
本当は自動車用のウレタン系のクリアを吹くと、厚く綺麗な光沢の、自動車のオイルにも強いクリアが吹けるらしいが、今回使った水性塗料に合うかどうかは全く分からない。最悪塗装表面が溶け出してデロデロになってしまう恐れもある。(今迄の苦労が水の泡..)
それも恐いので、無難に水性塗料に使えるエアテックス社の純正のクリアコートを使用した。

クリアコート

100ml。エアブラシに入れて吹くタイプ。

これも私の圧の低いエアブラシで果たして吹けるのか?これは濃い時は水では薄められない、イソプロピルアルコールで薄めよ、とかなっているし(なんじゃそりゃ..)。
不安だったが、粘度自体は大したことなく(水っぽい)、0.05MPa(0.5kg)でも難なく吹くことができた。
匂いはちょっと薬品系の匂いがしたので(第四石油類:アルコール類、有害性あり、火気厳禁となっている)、これはさすがに台所の換気扇を回しながら作業を行った。
ヘルメット一周グルグル、適当に時間間隔を置きながら一気に吹いたが、あまり厚くは吹けない。薄手のクリアといった感じ。それでほぼ100ml使い切ってしまった。まあそれでよしとしよう。
変な話あまり厚くクリアを塗っても、それだけ「ヘルメットが重くなる」ということ。100mlもし全部くっついたとしたら、それだけで約100g重くなるということ。グラム単位で重量を気にするレースの世界では、塗料の重さもバカにできない? ヘルメットでの重さは四輪ではそのまま横Gにかかることになり、首への負担増加が予想される。
・・ま、俺の走りには関係ないと思うが。


17.コンパウンド研磨

念のためクリア塗装後1週間置き、最初で最後の仕上げ笑、コンパウンド研磨を行った。

使用したコンパウンド

タミヤの仕上げ目(一番細かいやつ)。・・いきなり仕上げ目だけでいいのか?

ふむ、目が細かいので塗装表面に優しい反面、あまり表面のデコボコはなだらかにはできない。でもクリアが薄いので、あまり削っても水性塗料の表面が出てきそうで恐い。無難にだいたい光沢が出たところで完了した。

後日ヘルメット先生の家に行って、先生の作ったものや、本当のプロが作成した佐藤琢磨レプリカと比較したが、私のは
表面の仕上げが比較にならない程汚い。
光にかざすと、表面が月のようになっている笑。
試しに先生が2,000番の耐水ペーパーをくれて、ヘルメットの白い部分でちょこっとペーパーがけをしてみた。確かに表面のデコボコはツルツルになるが、
ヘルメットの下地(素)が出てきてビックリした。
まあ白い部分(色未塗装部分)はもともとクリアもほとんど吹いておらず薄いのだが。
安全策を取って、やっぱりペーパーを使うのはやめた。もし次回また作ることがあったら、クリアを厚めに塗って、ペーパーがけにもチャレンジしよう。きっちりペーパーがけやバフがけもやった先生やプロの作品などは本当に綺麗だし。(ツルピカ)


18.完成

ということで、縁ゴムや内装のマスキングを最後に剥がして、全て完成。縁ゴムの境目も・・汚いね。よく見ると奥まった塗り切れていない部分がバリバリで汚い。プロが縁ゴムを外して塗る理由が分かった。まあ今回は自分で作って、使うのも自分なので、細かいことは問わない。

完成
とりあえず大きな失敗はなく、また途中で挫折することなく最後まで完成してホッとした。汚いながら、愛着は沸くね。出来もこの位なら何とか被って表に出ても平気?

360度ビュー その1(最初は再生ボタンを2回押さないと動かないかも)




360度ビュー その2(最初は再生ボタンを2回押さないと動かないかも)


後は実際の使用における耐候性などは、これから実地も兼ねての検証となる。

とりあえずこれを被ることによって、私のカートへのモチベーションも上がるだろう。間違っても周りの人に
「あいつ自分のオリジナルメットまで持ってくるくせに、遅いぜ」
と言われないよう、精進せねばならない..


19.トータル工数(概算)

●デザイン考案・・・・丸 2日 日頃考えているが、工数換算でこの位か。
●寸法計測・・・・・・丸 1日 結構大変。
●ラインテープ貼り・・丸 2日 1日じゃちょっときつそう。
●色塗装・・・・・・・丸 2日 慣れれば結構すいすいいけそう。
●ラインテープ剥がし・ 0.5日 結構大変。
●クリア吹き・・・・・ 0.5日 重ね塗りするのでこの位。
●コンパウンド・・・・ 0.5日 最後のこの作業がニマニマ一番楽しい。

 合 計        10日弱位 かかったのではなかろうか。

実際自分で作ってみると、プロの方の凄さが分かる。あんな綺麗で緻密なデザイン、シロウト技では決してできない。自分でやる前は「塗装代だけで5〜8万円なんて、メット自体がもう1個買えちゃうじゃんかよ」と安易に思っていたが、いやいや、その位の手間は絶対かかっている。それだけの価値が十分にある。よく嫌にならずに何個もずっと作り続けていると感嘆する。もう私はしばらく・・いいかな..(その位大変だった) ・・でも1回こっきりじゃ、この買ってしまったエアブラシ、高くついてしまう笑。そのうちまたいつか..


20.付録

塗装しやすいよう、向きを変えられる下記机も購入した。ホームセンターで2,000円位だったか。

塗装用に使った机



コンプレッサーの音は、本当に静か。エアコンプレッサーというより、熱帯魚の水槽の酸素ボンベに近い、ブーーンと、そんな音である。
携帯ムービーで動画に撮ってみた。

コンプレッサーの動作音(3GPムービー。Apple Quicktime Player要)

音が聞こえるだろうか..? 携帯ムービーではあまり拾えなかった。その位静かということ。夜中に吹いても全然問題なかった。
エアの噴射による圧力の変化もあわせて撮った。


次号

実は・・その後カッティングマシン「ステカ」も買った。
3万円〜。(いったいいくらかけてるんだ!?)
オリジナルの切り文字ステッカーを自由に作れるマシンだ。

ローランドDG ステカ
http://www.rolanddg.co.jp/stika/index.html

これでヘルメットに貼るステッカーも自作してみようと思う。
体験記はまたホームページで。



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