GTR125 だんだん調子悪くなった事件
2007/05/12


購入後、すこぶる調子の良かったGTR125。
推測だが、その気になればメーター読み110km/h位出そうな勢い、
マフラー装着で117km/h位出そうな勢いはあったと思う。
(但しかなりのHappy Meterベース)

ところが1万kmを超えたあたりから徐々におかしくなってきた。
気のせいか?というレベルではなく、
推定100km/hレベルに到達するのも怪しくなってきた。
これは明らかに不具合を抱えている。
原因を突き止めるべく、自分のできる範囲で各部チェックを行った。


●プラグ交換
新車購入後装着したイリジウムプラグを一度も交換していなかったので
新品のイリジウムプラグに交換してみた。
1万km使用したプラグはかなり電極が擦り減ってギャップが開いていた。
交換後エンジンの回転は滑らかになったが、出力的には復調していない。
根本的解決にはならず。

●エアクリーナーエレメントチェック
次にエアーエレメントをチェックした。
1万km程度では出力が落ちる程汚れるものでもないだろう、
という先入観はあった。
見たところ確かに1万km使用の汚れあったが、大きな問題ではなさそう。
口を付けて吹いてみても・・それなりに空気は通っているように思えた。
試しにエレメントを外し、エアクリーナーBOXだけで軽く試走してみたが、
・・特に出力が変わるような気配は感じられなかった。
故に吸入抵抗の差はそれ程出力に影響しない、とその時は思った。

●CDIのトラブル?
低中回転はそれ程問題はなく、高回転だけが不調のため、
点火タイミングのトラブルも疑った。
純正CDIが進角でもしなくなったか?
いろいろWebで調べたところ、
バイクによってはバッテリーが完全に上がった状態で走行すると
電圧不良でCDIが壊れる場合がある、と書いてある所があった。
・・思い当たるフシはある。
先日自分でキャブヒーターをバッテリー直配線で装着した時、
手動スイッチを切り忘れ何度か完全にバッテリーを上げたことがある。
その時はキックでエンジンをかけ走行しながら充電したのだが、
CDIに悪影響を及ぼしたかもしれない。
そこで社外CDIの購入も少し検討した。
(純正品は台湾並行車のため取り寄せにくい)
・・しかし普通CDIが故障したら全く火が飛ばなくなるはず。
CDIの故障は若い頃ヤマハトレイシー125で経験がある。
その時も全く走行できない状態になった。
(当時で言うイグナイターの故障。元々弱くて有名なバイクだったらしい)
よってCDIが原因の可能性は低い。

●Vベルトの不良?
前車グランドアクシスの経験から1万km程度では問題ないと思ったが、
念のためベルトを交換してみることにした。
GTR125を購入したバイク屋でVベルトを取り寄せ、交換してみたが、
・・何も変わらず。
ベルト摩耗も、1万km使用したベルトの幅が約21mm、新品も約21mm。
殆ど減っていない。
シグナスX用のサービスマニュアルを見ても新品22mmと記載されている。
ベルトの問題ではなさそうだ。

●キャブの不調?
運悪くジェット類が詰まってしまったか?
キャブを車体から取り外し分解してみた。
結果、不具合は見当たらず、中は綺麗なものだった。
逆に組立時にオートチョークの先端を折ってしまい部品が取れてしまった..
現在は取れたチョークニードル部品をキャブに詰めただけで
一切チョークが効かない状態だが、・・意外と普通にエンジン始動する笑
外気温7度でも始動した。
よって暖かいうちは平気だろう。
まあ次の冬までにはユニットごとオートチョーク交換する予定。

●社外マフラーの不調?
何か構造の不具合で排気口を塞いでしまったか?
装着していた社外マフラーを外してチェックしてみる。
何も問題なし。詰まっている様子は一切ない。
これも原因ではないだろう。
念のためバイクをノーマルの状態に戻してチェックするため、
マフラーを純正に戻した。

●エンジンオイルの不具合?
オイルの質が悪い? もしくは入れ過ぎ?
しかし銘柄も変えてはおらず、入れ過ぎの様子もない。
念のためオイル交換したが、特に変化なし。
これも違うだろう。

●ミッションオイルの不具合?
前車グランドアクシスの経験からミッションオイルはあまり劣化しないもの、
という認識はあったが、一度も交換したことがなかったため
(注:本来は新車1,000kmで交換指定あり)
念のため交換してみた。(ヤマハギヤオイル110cc)
やはり1万km程度では殆ど汚れておらず、換えても変化なし。
これも違うだろう。

●ホイールベアリングの不具合?
エンジンの出力ダウンではなく、ホイール回転系の抵抗?
一応前後車輪を浮かせ手で回してみるも、特に不具合は見当たらず。
これも違うだろう。




以上、原因と思われる箇所を潰していったが・・特定できず。
もう1度最初に戻りエアクリーナーを確認してみた。

すると・・よく見ると汚れと言うよりは、
乾式エレメントが妙に油っぽくなっていることが判明した。
指で乾式の紙面の表面を触ってみると、完全に油を吸った状態になっており、
指の表面に油が付着する。
湿式ならいざしらず、乾式でこの状態では明らかに空気の透過性は悪いだろう。
・・なぜこんな状態になったか、原因はすぐに思い当たった。
GTR125は、エンジンオイルの逆流が激しいのである。
エアクリーナーBOX下部のドレンユニットにはオイルがすぐに溜まるし、
BOX内のオイル付着も激しい。
このオイルは、シリンダーヘッドからエアクリーナーBOXに接続されている
ブリーザーパイプを通して伝わって来るらしい。
ブリーザーパイプは、シリンダーヘッドのバルブ室内や、クランクケース内に
溜まった圧縮漏れ空気(ブローバイガス)を抜く役割をしている。
それがGTR125(シグナス系)ではノーマルでヘッド用が装着されている。

ブローバイガスを抜く必要性については知っていた。
若い頃ホンダゴリラにフルチューンヘッドとシリンダー・ピストンを組んだ時
(88cc、ハイコンプ、ハイカム、吸排気ポート拡大、二種登録)
ブリーザーパイプなしで走行していたところ、
エンジンがエンジンだけに漏れ圧力もすごかったらしく、
クランクケースの合わせ目やキックペダルのオイルシール等から
エンジンオイルが吹き漏れてきた。
慌ててキジマのブリーザーパイプ&オイルキャッチタンクキットを購入し
ヘッドとクランクケースに装着した経験がある。
その時もパイプの中をオイルが結構飛び散っていたのを覚えている。
(特にクランクケース側)
ブローバイガスを抜く時はオイルキャッチタンクが必要になる位
オイルも伝わってくる、ということだろう。

とりあえずGTR125のエアクリーナーエレメントを新品に交換した。
あわせて今後オイルでエアクリーナーが汚れないよう、
ウイルズウィンのインジェクタータンクというものを取り付けた。
(シグナスX改の後輩より中古を譲り受ける)
その後試走してみたところ・・本来のGTR125の出力を取り戻した。
原因はエアクリーナーエレメントにあったのである。
一件落着。

・・しかし僅か1万km程度で
エアクリーナーエレメントがこのような状態になってしまう
GTR125(シグナスX系)の設計自体どうなんだろう?
と疑問に感じてしまった。
他のシグナスX乗ってる人達は皆大丈夫なのだろうか?




1万km使用したエレメントと、新品エレメント。
穴が開いてる部分は、新品エレメントが到着するまでの間
切り抜いてテストしてみた部分。




ウイルズウィン インジェクタータンク
(ヘッドブリーザーパイプ)装着




装着図
すみませんブローバイガスは大気開放です。環境にはよくありません。




純正のブリーザーパイプ(エアクリーナー戻し)




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